定年後の暮らしは読書三昧 平岩弓枝「御宿かわせみ」を読む(その三)
「新・御宿かわせみ 花世の立春」の『抱卵の子』エピローグで、大川端「かわせみ」の女主人るいが、庭先に出て大川を眺めていた。
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川の面に月が映っていた。
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長いこと、この川の流れを見て生きて来たと思う。
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大切な顔、忘れ難い顔が川波の中に見え隠れして遠ざかって行くのが、ただ、なつかしかった。
人は誰しも幸せを望んで人生を歩いている。
それでも、打ちのめされ、ふみにじられて失望や絶望に慟哭することなしに生涯を終えられる人は皆無であろう。
人間に与えられた最高の幸せは、どんな悲しみや苦しみも、その人が勇気をふるい起し、努力を重ねれば、いつか忘れる日が来るということではないか。そうでないと、人はとても生きて行けない。
それでも多くの人は忘れようにも忘れられない心の痛みをひっそりと抱えていて、時にはそれが生きる支えになったりもする。
人とは不思議なもの、愛おしいものと水面をみつめて胸の中でるいは呟いた。
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・・・読書はいい。大げさにいうと生きている喜びを感じるときだ。
「新・御宿かわせみ 花世の立春」 平岩弓枝 文藝春秋社 平成22年1月10日第1刷
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コメント
定年後の暮らしは、冷房の部屋で読書三昧です。でも、そんなことも言っていられないほどの異常な暑さです。
夏休みに入り、少しはゆったりした日々をお過ごしでしょう。
投稿: Tsuka | 2018年7月23日 (月) 午後 09時46分
Tsukaさま、毎日ひどい暑さです。お元気でしょうか。
今日、甲府は40度を超えたとニュースで知りました。
どうぞ体調を崩されませんように。
投稿: らぶ | 2018年7月23日 (月) 午後 07時18分